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農機具の選び方

耕運機・ハンマーナイフモア・刈払機…
何がどう違う? 農機6種の使い分けを全部整理した

2026.05.30 ・ たむちゃん農園 田村翔

耕運機、ハンマーナイフモア、ウイングモア、芝刈り機、刈払機、トリマー…。
農業の機械って、名前は聞くけど「何がどう違うの?」をちゃんと説明できる人、意外と少ないと思うんです。わたしも就農したての頃は、全部「草刈る機械」くらいの認識でした。
でもこれ、間違って選ぶと作業が全然はかどらないどころか、機械を一発で壊すことすらある。だから今回、6種類の違いと使い分けを、現場目線でスッキリ整理しました。

🚜 ぜんぶ「草刈り機」じゃない、と気づいた話

新人の頃、わたしは「自走式の草刈り機があれば全部できるんじゃ?」と思っていました。でも実際は、畑の土起こし・あぜの草・荒れ地の粉砕・畑のキワ・生垣の刈り込み…それぞれに「専用の道具」がある。逆に言えば、自分の現場に必要な機械さえ分かれば、ムダな買い物をせずに済みます。

この記事は、昔のわたしみたいに混乱している新人さんに向けて書きました。

01大前提:機械は「耕す系」と「刈る系」

細かい話に入る前に、まずこの2つに分けると一気にスッキリします。

🟫 耕す系

土を相手にする機械。土をふかふかに砕いて、野菜が育つ畑を作る。
=耕運機

🟩 刈る系

草・芝・枝を相手にする機械。場所と仕上がりで5種類に分かれる。
=モア類・刈払機・芝刈り機・トリマー

📚 豆知識:「耕運機」?「耕耘機」?

じつは本来の正しい表記は 「耕耘機(こううんき)」。「耘(うん)」は〝田畑の草を取る=除草〟という意味で、「耕耘」で〝耕して草を取る〟という農作業そのものを表す言葉なんです。

ただ「耘」が常用漢字じゃないので、同じ音の「運」を当てた 「耕運機」 が広く普及しました。役所では交ぜ書きの「耕うん機」もよく見ます。意味で正しいのは耕耘機、通りがいいのは耕運機。どちらも通じます。

026種の機械図鑑

それぞれ「何をする機械か・得意・苦手・価格の目安」をまとめました。価格は2025〜2026年の国内農機具ECやメーカー情報をもとにした目安です。

🌱1. 耕運機(耕うん機)耕す系
役割
土を砕いてふかふかにする(土作り)
得意
家庭菜園〜畑の土起こし、平坦な農地
苦手
石が多い場所、傾斜地、伸びた草の粉砕

💰 約2万〜15万円(小型・電動)/10万〜30万円以上(本格エンジン)

💪2. ハンマーナイフモア刈る系・自走
役割
背の高い草を強力に「粉砕」する(自走式)
得意
荒れ地、笹、休耕地、果樹園。刈った草が細かく土に還る
苦手
芝のような綺麗な仕上げ、狭い場所の取り回し

💰 約30万〜80万円台〜(プロ機は100万円超も)
※ドラムにY字の刃を並べて縦回転で粉砕する仕組み。オーレックでは「ブルモア」というブランド名で展開

🛞3. あぜ草刈機(ウイングモア)刈る系・自走
役割
あぜの「平らな上面」と「斜面」を同時に刈る(自走式)
得意
田んぼのあぜ道、傾斜のある農道
苦手
背丈を越える固い草、平地だけの広い土地

💰 約20万〜30万円台〜
※「ウイングモア(ウィングモアー)」はオーレックの製品名。一般名称は「あぜ草刈機/畦畔(けいはん)草刈機」。クボタは「畦畔草刈機」と呼びます

4. 自走式芝刈り機刈る系・自走
役割
芝を一定の高さに「美しく」刈り揃える
得意
平坦な庭、公園、ゴルフ場などの管理地
苦手
デコボコの荒れ地、石が転がる場所、雑草地

💰 約3万〜15万円台

🌾5. 刈払機(草刈機)刈る系・手持ち
役割
手に持って振り回して草を刈る(万能型)
得意
狭い場所、急斜面、木や石のキワ。どこでも入れる
苦手
広大な平地(時間がかかり疲労が大きい)

💰 約1.5万〜7万円台
※18V・36V・40Vの選び方はマキタの記事、エンジンと電動の比較はこちらの記事で詳しく

✂️6. トリマー(ヘッジトリマー)刈る系・手持ち
役割
葉や小枝を直線的に刈り込み、形を整える
得意
生垣の剪定、玉散らしなどの造園作業
苦手
太い枝の切断、地面の雑草刈り

💰 約1万〜4万円台

03混同しやすい機械の違い(ここ重要)

とくに「刈る系」は見た目も名前も似ていて混乱しがち。ハッキリさせます。

刈払機 vs ハンマーナイフモア vs あぜ草刈機

  • 刈払機(手持ち):小回りが利いてどこでも入れるけど、人間の体力を使う。「狭い場所・障害物まわり」専用の補助機と考えるのが正解。
  • ハンマーナイフモア(自走):Y字の刃が縦回転で草を細かく粉砕。刈った草が土に還りやすく、数年放置した背丈以上の荒れ地の開拓に必須のパワーマシン。
  • あぜ草刈機=ウイングモア(自走):刃のついた車輪の横に角度を変えられる「翼(ウイング)」。あぜの平面と斜面を一度に刈る「あぜ道専用」に特化。

あぜ草刈機 vs 自走式芝刈り機

どちらも車輪で進みますが、目的が真逆です。あぜ草刈機は「雑草をある程度短くする」ラフな作業向け。芝刈り機は「芝をミリ単位で均一に美しく仕上げる」造園用。刃の構造がまったく違います。

⚠️ やりがちな失敗:芝刈り機で荒れ地を刈らない

芝刈り機は「平らで石のない芝生」専用。これで雑草の荒れ地を刈ると、石を巻き込んで一発で壊れます。「車輪で進む草刈り機だから同じだろう」は危険。荒れ地はハンマーナイフモア、芝は芝刈り機、と完全に分けてください。

04シーン別・使い分け早見表

「この場所・この作業なら、これ」をまとめました。迷ったらここだけ見ればOK。

こんな時はこれを使う理由
畑の土を柔らかくしたい耕運機土を耕してかき混ぜる唯一の機械
田んぼのあぜ(段差+斜面)の草あぜ草刈機(ウイングモア)平面と斜面を一度に刈って時間激減
数年放置した休耕地(背丈の草・笹)ハンマーナイフモア歩くだけで粉砕、集草の手間も省ける
畑の隅・果樹の根元・塀のキワ刈払機大きな機械が入れない場所の仕上げ
庭の芝生をきれいに保ちたい自走式芝刈り機仕上がりの美しさならこれ一択
生垣を四角く整えたいトリマー刃が長く、平らな面を一度に作れる

← 表は横にスクロールできます

05電動化はどこまで来てる?

2025〜2026年、農機の電動化は急速に進んでいます。ただし「全部が電動になったわけではない」のが現実。種類によって温度差があります。

✅ 手持ち系(刈払機・トリマー)→ 電動が主力に

マキタ・ハイコーキが市場を牽引。とくにマキタの40Vmax/80Vmaxはプロ農家でも主力になる性能です。エンジンが本業だった共立・ゼノア(やまびこ)も、36V〜50Vクラスのバッテリー式を本格展開しています。

🔼 耕運機 → 小型を中心に電動が増加中

マキタは18V・40Vの充電式耕運機(管理機)を展開。ホンダも着脱式バッテリーを積んだ電動耕運機を開発するなど、小型クラスから電動化が進んでいます。

⛽ 自走式の重作業機(ハンマーナイフモア・あぜ草刈機)→ まだエンジンが主流

歩行型の小型電動モデルは出始めていますが、重い草を連続で粉砕し続ける自走式の重作業機は、依然ガソリンエンジンが主流。膨大なエネルギーを使うため、今のバッテリー技術では「稼働時間と重量のバランス」を取るのが難しいからです。

🔎 「電動はすぐ切れる/馬力が弱い」って本当?

手持ちの刈払機について言えば、答えは「一昔前の話」。今のプロ用40Vmaxは35cc級エンジン相当のパワー(マキタ公式が「35mLクラス エンジン式同等」と明記)まで来ています。ただしカタログの連続時間は「無負荷時」が前提で、重い草を刈ると実働30〜40分で切れることも。予備バッテリーは必須です。

この話は ガソリン式 vs 電動式の記事 で数字を出して詳しく検証しています。

06結論:新人がまず揃える順番

「全部いきなり買う」必要はありません。失敗の少ない、現実的な順番がこれです。

🌾 たむちゃんのおすすめ導入ステップ

① 最初の1台:バッテリー式の刈払機(手持ち)
どんな地形でも対応できる万能機。36V/40Vクラスなら、混合燃料のトラブルなしでパワフルに始められます。

② 野菜を作るなら:小型〜中型の耕運機
手で土を起こすのは限界があります。10万円前後の取り回しのいい1台を。

③ 土地が広く荒れてきたら:ハンマーナイフモアは「レンタル/中古」から
自走式は高価(30万円〜)。まずは農機具屋や自治体のレンタルで試して、本当に必要だと感じてから買うのが賢いです。

道具は「持っている数」じゃなく「現場に合っているか」。自分の畑の広さと状態に合わせて、必要なものから一つずつ。それが一番ムダがありません。この記事が、最初の整理の助けになれば嬉しいです 🌱


この記事について

AIによる調査結果に加え、わたし(筆者)自身がメーカー公式・農機具専門サイト等で裏取りをしたうえで、農家目線で整理しました。とくに「ウイングモア」はオーレックの製品名で、一般名称は『あぜ草刈機/畦畔草刈機』です。価格・性能は2025〜2026年時点で調べた目安で、製品や時期によって変わります。購入前にはメーカー公式・販売店で最新情報をご確認ください。

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田村翔(たむちゃん農園)
山形県・鳥海山麓で自然栽培5年目。大田市場で11年の青果目利きを経て就農。栽培・道具・農業経営のリアルを、現場目線で発信しています。
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